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2008年07月21日(月)

びしゃご (31)

   虚無僧の正体は、少し前にびしゃごたちの前を通ったお姫様でした。

びしゃご 「あの~・・お姫さまですよね?なんで、ココにそんな格好でおるんですか・・?」

お姫様 「ふん!そちのような・・小汚い者に用はない・・。」

ムッとしたびしゃご 「 ! 小汚い!?」

お姫様 「そちは、はよ去れい!目障りじゃ!わらわが・・この格好でココに来たのは・・このおかたに会うためなのじゃ・・ポ。」

びしゃご 「このおかた?」

   お姫様はジーっと夫のほうを、顔を赤くし、嬉しそうに見つめていました。

夫 「えっ・・あの~ワシに何かようですかい?」

お姫様 「わらわは・・そなた様を好いております・・わらわがこんな気持ちになるのは初めてじゃ・・t。」

急にまじめに応える夫 「いや、急にそんなコトを言われましても・・。お姫様とワシは身分が違いますし~それにワシ~となりのこの者がワシの嫁のびしゃごです・・。」

お姫様 「なんと!こんな女が!」

   お姫様はムッとした顔で、びしゃごをにらみました。

びしゃご 「そういうコトです・・(ニヤリ)ワタシとこのひとは夫婦なんです・・。」

お姫様 「むむむ・・。」

夫 「あの~お姫様・・なんでワシなんかを気に入ったんですかい?会ったばかりやし?」

お姫様 「・・いいでしょう。お答えしましょう。」

  お姫様は神妙な面持ちで答えました。

お姫様 「わらわは土佐藩主の娘です。わらわの周りには幼少の頃から、『家柄』が良く、『容姿』も良く、『頭』も良く、『才能』もあり、『性格』も良い人たちばかりに育てられ、接してきました・・。」

夫 「は~それはなんとなく分かりますが・・それでなんでワシのコトを・・?」

お姫様 「まだ、話に続きがありまする・・このままいけば、わらわはどこかの藩主の息子か家老の息子と婚儀をされるでしょう・・つまり一流の家柄の方と・・。」

夫 「は~それもなんとなく分かりますが・・。」

お姫様 「・・・まだ、分からないのですか・・?」

夫 「はい。」

お姫様 「やはり・・・今日、いや、この2、3日わらわは土佐の町を見て周りました。それでも、あなた様ほど、ぐ~たらそうで、だらしない格好で、何も考えてなさそうで、幸薄そうな人を見つけるコトが出来ませんでした・・おそらく日本中探したとしても・・。」

夫 「はあ~。」

お姫様 「ようするに・・わらわは、優れた男は嫌いなのじゃ・・あなた様のような、ぐ~たらでどうしようもなく、救いがたい男がわらわの好みなのじゃ・・なんというか・・守ってやりたいというか・・。」

びっくりした夫 「 !!! 」   また次回。

この物語はほとんどフィクションです


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