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2009年05月24日(日)

びしゃご 52  室戸荘


将軍 「びしゃごよ!では、今からワシと布団の中で契りを交わそうぞ!(笑)」

びしゃご 「将軍様!お言葉ですが・・。」

将軍 「なんじゃ?」

びしゃご 「ワタシには亭主がいます・・。将軍様の嫁はワタシには無理です!」

将軍 「なに~!(怒)おぬし・・亭主がおるのか!?」

びしゃご 「はい。」

将軍 「うぬぬ!(怒)その亭主は何処におる!?」

侍 「殿!先ほどまで城にいたそうですが・・命の危険を感じ逃げたようです・・。」

将軍 「なんだと?鋭いヤツじゃ!江戸の町中・・いや、日本中に亭主の顔を貼るのじゃ!亭主を見つけた者には金100両の褒美を取らす!」

びしゃご 「そんな・・。」

侍 「は!」

   夫は賞金首になりました・・。

びしゃごの手を掴む将軍 「では・・びしゃごよ・・ついて参れ!」

手を引っ張られるびしゃご 「どうか勘弁してください!」

  その時!

二人の手を離させる徳川家の爺 「殿・・まだ、終ってない事がありましょう・・。」

将軍 「・・・。」

  将軍と爺は・・他に話が聞こえない場所へ・・。


徳川家の爺 「讃岐藩主の切腹を・・殿は見届けなければなりますまい。」

将軍 「爺・・あれはな~・・」

徳川家の爺 「ワタシが居なかったとはいえ・・。殿は冗談のおつもりで申した・・っと言うのですか?」

将軍 「うっ、爺よ・・あれは三藩主に本気を出させるために言ったのじゃ・・。もし、本当に讃岐藩主を殺してしまえば・・必ずワシへの求心力は無くなるぞ。」

徳川家の爺 「殿・・藩主切腹の話は江戸・四国どころか日本中に知られております。今、ココでアレは冗談だったでは済まされませんぞ・・。今後は必ず言動にお気をつけを・・。では、始めましょう・・。」

将軍 「爺・・するしか無いのか?」

徳川家の爺 「落し前がつきませぬ・・。」

  二人は戻りました。

徳川家の爺 「では・・約束通り。讃岐藩主よ・・覚悟を決められよ・・。」

讃岐藩主 「・・・。」

将軍 「・・・。」

びしゃご 「そんな・・。」

  讃岐藩主は桜の木の下(切腹場)へ連れて行かれました。

徳川家の爺 「讃岐藩主よ・・殿に最期に何か言いたい事があれば言うが良い。」

将軍 「・・・。」

刀を持つ讃岐藩主 「何もありませぬ・・。では・・」

  その時!!

さんご 「ちょっと待った!!」

将軍 「なっ、何事じゃ!?」

さんご 「藩主様は何も悪う無い!・・負けたワタシが悪いんだよ!」

びしゃご 「さんごさん・・。」

タチバナ姫 「・・・。」

  なんと!さんごは着物を脱ぎ捨て・・サラシ一枚に・・!

将軍 「なっ、なんという格好しておる・・。」

さんご 「ワタシは・・はなから負けた時は死ぬつもり・・。さあ!刀をよこしな!藩主様の替わりにワタシが死んであげるよ!」

讃岐藩主 「さんご・・。」

将軍 「・・・。」

将軍に耳打ちする徳川家の爺 「殿・・・好都合にございます・・。」

将軍 「コレが好都合なのか・・?」

   徳川爺は・・さんごに刀を渡しました・・。

徳川家爺 「さんごよ・・二言は無いな?」

さんご 「ワタシは漁師だ!いつでも死を覚悟してるよ!」

さんごの父 「さんご・・。」

さんご 「父上・・コレでいいでしょう・・。」

  さんごは刀を振り上げました・・その時!

将軍 「止めい!」

  なんと!将軍がさんごの刀を取り上げました!

さんご 「何故・・お止めを・・?」

将軍 「さんごよ・・すまない・・」

徳川家の爺 「殿・・これ以上言ってはなりませぬ・・止めてもなりませぬ・・。」

将軍 「爺よ・・ワシは将軍である前に一人の男だ・・。ワシにはこの女(さんご)が必要なのじゃ・・。これから妻になる女を誰が目の前で死なせる事が出来るか!(怒)こんな行事(美人コンテス)は即刻中止!!!分かったな!?(怒)」

徳川家の爺 「・・・は!」

将軍 「さんごよ・・お前の切腹は・・ワシとの婚儀で許してくれないか?この通りだ・・」

   将軍は・・さんごに求婚の申し出を。


さんご 「・・・。」

将軍 「こんな情けない将軍では不服か・・?しかし、これからのワシにはおぬしのような女が必要なのじゃ・・。」

さんご 「これからは海ではなく・・あなた様に身も心も預けましょう・・。ワタシはアナタの舟になりまする・・」

  そして・・

   ・・江戸の町・・

お触書を見る江戸っ子A 「なんだって!?コイツ(夫)を捕まえたら・・金100両!とんでもねえぜ!(喜)」

お触書を見る江戸っ子B 「金100両って事はコイツ(夫)はとんでもねえ悪いヤツなんだろうな!許さねえぜ!(怒)」


    ・・伊予藩屋敷・・

宇和島家臣 「では、姫様・・帰りましょう・・。」

タチバナ姫 「ワタシがビリだったらどうなっていたでしょう・・?」

宇和島家臣 「姫様・・。おそらく将軍様はあえて「さんご」様をビリにしたような気が・・。」

タチバナ姫 「ワタシもそう思います・・。本当にワタシは情けない・・。」

宇和島家臣 「・・では、ご用意を。」

  そして・・びしゃご一同は船に乗り帰路につこうとしてました。

びしゃご 「・・・。」

家臣A 「びしゃご気持ちは分かるが・・もう夫は助かっておるまい・・。」

家臣B 「町中の江戸っ子が夫を探しているからな・・アイツ(夫)はアホでどうしようの無かったが・・死んでしまうと淋しいの~(笑)」

念仏を唱える高僧 「南無阿弥陀仏!!」

びしゃご 「やめてください!(怒)」

ビックリする家臣AB・高僧 「・・・。」

びしゃご 「あなた達は!将軍様と「さんご」様を見てたでしょう!?夫婦というモノがどういう事かお分かりですか!?(怒)」

家臣AB・高僧 「すいません・・。」

  その時!船の調理場から酔っぱらった夫が・・。

酔っぱらった夫 「うい~・・あれれ?もうみんな帰っておったか!?坊主(高僧)どうや?一杯♪」

びしゃご 「あなた!」

家臣B 「そなた!生きておったか・・。」

酔っぱらった夫 「坊主が顔に死相があるから身を隠せってしつこいから・・ココに戻ってお酒を拝借してたぜよ!」

びしゃご 「良かった!お坊さん・・ありがとうございます!」

高僧 「あたりまえのことをしただけじゃ・・。」

酔っぱらった夫 「ところで?美女決定はどうなったぜよ?さんごか?・・もう一人はダレだったかの~・・」

家臣A 「タチバナ姫じゃ! ははは(笑)行事は中止じゃ!」

酔っぱらった夫 「は~?中止~?無茶苦茶ぜよ!」

家臣B 「まあ・・びしゃごはさんご様に試合に勝って勝負で負けた・・というトコロだな。」

びしゃご 「はい♪」

  そして・・船は土佐へ・・


江戸の町を見るびしゃご 「・・・。(さんご様・・お幸せに・・。)」

(次回シリーズ予告!)不漁で飢えに苦しむびしゃごと夫が!優勝賞品「米一俵」の相撲大会に二人三脚で挑む!(予定)

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