びしゃご 35 室戸荘
・・・高知城下町の広場(闘犬会場)・・・
土佐犬会場では優しそうな受付が客呼びをしてました。
受付 「へい!みなさん!どうですかい!土佐中から腕自慢のお犬ちゃんが集っているよ!しかも!今日は土佐犬大横綱の「土佐鰹(とさかつお)」も出るよ!!そこのお嬢さん!入場料は二人でたったの一文だよ!」
お姫様 「あなた様♪ココであります♪あなた様・・わらわはお金など持ってない・・あなた様、一文を貸してくださりませんか?」
(注:江戸時代では一文は1両の4千分の1です。)
夫 「・・・。」
お姫様 「あなた様?」
夫 「お姫さん!ワシは金なんて一文も持ってないぜよ・・。」
お姫様 「大人なのに「一文」も持ってないんですか!?」
夫 「はい・・大人なのに「一文」も持ってないぜよ・・。」
お姫様 「弱りました・・せっかく来たのに。それに今日は大一番の横綱対決!土佐犬大横綱「土佐鰹」と秋田犬大横綱「霧丹歩(きりたんぽ)」戦があるのです!!(興奮)」
夫 「はあ~。そうですか・・。」
お姫様 「 ! あなた様名案が・・あなた様はここで一文分働きなさい・・。これは命令です。」
夫 「え~、そんな~。」
お姫様 「一文分の労働ですからたいしたことないですよ♪」
お姫様は受付に相談しに行きました。
受付 「お嬢さん・・この男を一文でココで働かせてくれだって?」
お姫様 「わらわからの頼みじゃ。わらわはどうしても「土佐鰹」VS「霧丹歩」が見たいのです・・。」
受付 「よし!気に入った!お嬢さんの闘犬への熱い想いは伝わったよ・・。ただし、この男(夫)がどうなっても構わんのだね?」
お姫様 「はい。」
夫 「そんな~・・。」
受付 「では、お嬢さんは入りな。」
お姫様 「では、あなた様、いって来ます。しっかり仕事をするのですよ♪」
夫 「はあ~・・。」
お姫様は嬉しそうに闘犬会場に入って行きました。
夫 「ワシも見たかったのにな~・・。」
人柄が変わった受付 「おい!なにボサっとしてやがる!テメエ(夫)はコッチだ!(怒)」
夫 「はっ、はい!」
受付 「オレがテメエ(夫)のようなグズを一文で買ってやったんだ・・。恨むんならお前を売ったあのオンナを恨むんだな・・(ニヤり)」
受付は夫を一文で買ったと勘違いしてました。
夫 「ヒイイ~~。」
受付 「オラ!お前たち!」
受付に呼ばれて闘犬従事の恐そうな若い衆が数人来ました。
若い衆A 「へい!カシラ(受付)なに用ですかい!?」
受付 「コイツ(夫)をお前たちが、煮るなる喰うなり好きにしな!」
若い衆たち 「へい!」
夫は闘犬会場の裏方に連れて行かれました。 また次回。
この物語はほとんどフィクションです