びしゃご⑬ 室戸荘
若頭 「どこから・・こんな舟で来たんじゃ、理由が知りたいが・・。」
夫 「・・はい・・じつは・・・。」
夫は紀州に来たワケを話しました。
若頭 「女のために、ここで漁方を覚えて、金持ちになるために舟に乗って来たというのか?」
夫 「は~、コレしか無かったぜよ・・。」
若頭 「・・・ははは、その命知らずなトコロが気にいった!役人には秘密にしといてやるわ。」
夫 「ありがとうございます・・。」
若頭 「今から陸に上がって、酒盛りをするがおぬしもどうだ?土佐の漁師の話が聞きたい。」
夫 「はい、よろこんで!」
夫は漁師達の浜に連れて行ってもらいました。
夫は晴れて紀州上陸に成功しました。
そして、その夜・・。
若頭 「今夜はトコトンやるぞー!」
漁師達 「おー!(笑)」
漁師達は浜で飲めや歌えやの酒盛りを始めました。
夫 「じゃん、じゃん酒持って来~い!土佐の男は酒じゃ負けんぜよ!」
漁師A 「おい、あんた、若大将が呼びよったで~。」
夫 「なに・・若頭が・・すぐに行かんと。」
夫は若頭のトコロに行きました。
夫 「どうも、このたびは助けていただき、そのうえこんな席に呼んでいただいて・・。」
若頭 「ははは、気にするな!困ったときはお互い様じゃ!ワシの横に座っているのは、ワシの兄じゃ。兄にお前の事を話したら、兄も気に入ったみたいじゃ!」
網元の次男 「おまえの女のために紀州まで来たアホなとこが気に入ったわい・・。」
夫 「は~ありがとうございます・・・。若頭さんは何人兄弟なんですか?」
若頭 「3人兄弟での~ワシが三男でこの人が次男じゃ・・ところで、あんたを紀州まで来らすほどの女なんやから、びしゃごっちゅう女はよほどの美人なんじゃろうな~・・。」
夫 「そりゃもう、じまんの嫁ですわ!」
若頭 「会ってみたいの~。」
その時、だれかの大きな怒鳴り声が響きました。
「だれじゃ!そいつは!よそものじゃないか!役人につきだせい!!」
また次回。
この物語はほとんどフィクションです